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講演「こどもを育むまちづくり~地域一丸となってこどもを育むためのしかけづくり」

2014年12月16日

ページ番号:159617

できることをできる人ができるときに

 「できることをできる人ができるときに」というのが、最近の私のキャッチフレーズになっています。この仕掛けをどう作るかというのがこれからのお話になります。

 この数年、元気な地域とお付き合いをさせていただいていますけれども、そのうちの一つに堺市南区の新檜尾台という地域がございます。泉北ニュータウンの中にある町会ですけれども、この新檜尾台の町会長さんが数年前に町会の総会で「今年度から自治会は行事を一切しません。」と爆弾宣言をされました。当然文句が出てきます。今まで運動会を楽しみにしてきた人、餅つきを楽しみにしていた人もたくさんいるわけです。町会長さんは、「運動会をやりたい人が運動会の執行委員をし、餅つきをやりたい人が餅つきの部会を作ったらいい。それぞれの行事をやりたい人が動いてもらえるような仕組みを作ったらいいのと違うか。町会は金を持っているから、その実行委員会に金を渡す。でも町会の役員が運動会もやり、餅つきもやりということはしないで、それぞれやりたい人にやってもらったらいいやないか。」と言われました。それから、新檜尾台ではすべての行事、すべての活動を部会方式に切り替えました。そうしますと、町会の役員さんはすることがなくなって、全体を運営、管理するだけで済むようになったんですね。こういうように役割分担ができたわけです。さらに、運動会を例えにしますと、運動会には楽しみに来ている方がたくさんいますけれども、お手伝い、お世話はしないという方が多いわけです。そうなると運動会のお世話役さんが、だんだんしんどくなります。「楽しみにしていた。」と言うだけの人はたくさんいるのですが、そういう人に、「楽しみにしているのだったら、あなたがお世話してください。」と言いましても、「それはしんどいわ。」という話になってしまうかもしれません。そこをどう切り替えていくかということで、新檜尾台の場合はスパッと考え方を変えてしまったということなんですね。

 もう一つ典型的な話をさせていただきたいと思います。伊丹のある自治会長さんですけれども、自治会長の任期が切れる間際に、いろんな方に次の自治会長さんを頼まれたのですが、皆さん体よくお断りされるんですね。ついに頭にきたその自治会長さんが、「誰も次の自治会長を引き受けないのだったら、次の総会は自治会の解散総会にする。」と、これも爆弾発言をされました。自治会長をやる気のある人がいない自治会ならあっても仕方がない、というのがその会長さんの思いだったんですね。そうしますと1週間後に、「力不足かもしれませんけれど。」と、会長を引き受ける方が現れました。そこまでしなくてもという話もあるかと思いますので、難しい所でございますけれども、周りの方々を見ていると、どうもお客様になりすぎているのではないかという気がします。

 ですから、今日皆さんにお持ち帰りいただきたいことの一つは役員さん、お世話役さんが楽をしようと思ったら、まず周りの人をお客さんにしないこと、ということです。お世話をしすぎないことというのが重要だろうと思います。できるだけ前向きに取り組まれている方を増やしていくということが重要なんですが、そのためにはお客さんにしないことということです。

 例えば、会合でお茶をこぼした方がいたときにどう対応するか。これも交流会をさせていただいている八尾の南山本地区でのお話なんですが、以前はお世話役さんが、布巾を持ってきてお茶を拭いて差し上げていたわけです。ところがある時に、これではいけないと気がつかれまして、それからどうされたかと言いますと、お世話役さんは布巾を持ってくるところまでで止めて、布巾をこぼした方の前に置かれるということになりました。ここから先は当たり前の話といえば当たり前の話なのですが、お茶をこぼした方が拭いていただいて、そしてその汚れた布巾を流しへ持って行って洗って干す所までその方がされるようになった、ということですね。当たり前といえば当たり前のことです。ですから全部やってしまうと、上げ膳据え膳ということでお客さんになりますけれども、どこかで止めておく、後はみんなでやるということになりますと、お一人お一人の負担、特にお世話役さんの負担がぐっと減っていくだろうなと思います。

 今日は、大阪市全体の大会に呼んでいただいていますけれども、今日の話を気に入っていただいて、地域でも話をしてほしいということになりましたら、呼んでいただければと思います。地域の会合に呼んでいただいて、そこの地域が役割分担できているかどうかということが、物の見事にわかることがございます。それは何かと言いますと、私の講演が終わり解散したときに、椅子をどうされるかということなんですね。ある所では、来られた方は椅子をそのままにしてそそくさと帰られる。そうしますと、あと役員さんが残って数人ですべての椅子を片付けないといけないので、片付けるだけで20分くらい時間がかかってしまいます。ある地域は、自分の座った椅子は自分で片付けるということになりますから、役員さんは簡単に掃除をして鍵を掛けて帰るだけ、ということになるわけですね。だから私の講演が終わってから、この地域はどうかなということで暫く残って様子を拝見させていただいています。これを講演で言ってしまうとみんな椅子を片付けて帰りますので、地域で呼んでいただいたときはこういう話はしないんですけれども、ほんのちょっとしたことで、役割分担ができているかどうかということがわかります。

 それから、これは鶴見区の榎本校下の話なんですが、ここの交流会で生まれた行事がございます。放出音楽サロンという行事なんですけれども、この放出音楽サロンをしようよという話になったときに地域の方々が、1時半開演でしたが、12時に集まろうとおっしゃるんですね。私は、「12時に集まるというのは早すぎるのではないですか。」という話をしたんです。ご飯も食べないといけないですし、ぎりぎり1時でもいいのではないかと思ったんですね。そうしたら、地域の何人かの方が「最初の方が来られたときに準備が終わっていないと格好が悪いし、ちゃんと並べておいて暖かく迎え入れるというのが今までの習慣なので、そのためには今回も12時くらいに来て椅子を100脚並べないと間に合わない。」という話になったわけです。私は、「最初に来られた方が椅子が並んでいないのを見られると、多分、その方はいっしょに並べましょうかと言ってくれますよ、そういうことでいいじゃないですか。」とお話をさせていただきました。やはり、お世話役さんは気を使いすぎているのではないかなという感じがするんですね。おもてなしをしようという気持ちがあるのはいいことなんですけれども、でもそれが周りの方々をお客さんにしているという部分があるんじゃないかな、もっとみんなに手伝ってもらうということができたらなと思っています。

 さらに、「できることをできる人ができるときに」と先ほど言いましたように、できることを、ですからその方がどんなことが得意なのかということを理解していると頼みやすいですね。この方は現役のときにこんなことをされていた、だから、これを頼むのだったらこの人だということがわかっていればいいわけです。それぞれの方の技能、特技、こういうものを把握できているかどうかということが重要です。そして上手に物事が頼めるかどうかということになります。

 大阪市でも協働という言葉がよく使われるようになりましたが、協働とか、つながりとか、ネットワークが何故必要かというと、一人ひとりができることは高が知れています。けれども小さなことが積み重なっていくと一定の力になるわけですよね。ですので、このちょっとずつの力をいかに束ねることができるか、ということが重要な世の中にますますなってきています。これを難しく言えば協働というわけですよね。これからの世の中、このつながり、ネットワークをどうしたら作れるかということが重要です。

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